東京都水産物卸売業者協会にインタビュー!
三陸常磐の誇りを豊洲市場からもしっかり応援!
三陸常磐エリアの豊かな海の幸などを多くの皆さんに知って、味わって、楽しんでいただくための「ごひいき!三陸常磐キャンペーン」。「豊洲市場卸売会社共同社員食堂」では10月11日(水)からの6日間、朝食、昼食の各時間帯に三陸常磐ものの試食提供イベントが開かれました。イベントに託した思いを、豊洲で働く卸の組織「東京都水産物卸売業者協会」の浦和栄助専務理事に聞いてきました!
漁業者の誇りがつまった三陸常磐もの
今回、「ごひいき!三陸常磐キャンペーン」とコラボし、三陸常磐ものを共同社員食堂で提供した目的を教えてください
三陸常磐地域は、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けて、大変長きにわたって禁漁になりました。漁業者の方々は大変な苦労をされたと思います。我々、卸売会社と魚の生産者は常に二人三脚ですので、一日も早い復興を願っておりました。
世界に誇る三大漁場とも言われる三陸常磐の魚が入らないことは豊洲市場としても大きな打撃です。私たちは、「非常に評価の高い魚が市場から消えてはいけないし、一日でも早く震災前の状態に戻したい」と強く思っています。少しでも活性化の役に立てればと、社員食堂での試食提供に協力させていただきました。
三陸常磐ものの魅力はどのようなところでしょうか?
三陸や常磐沖は、寒流の親潮と暖流の黒潮が混じり合う非常に豊かな海域です。ヒラメにしてもサバにしても、タコにしても、いいものが獲れ、お寿司のネタなどでは高級魚として扱われます。いわゆる「常磐もの」は、我々業界内でよく知られており、歴史的にも高い評価があります。
魚のプロフェッショナルの間でも!
それはもう最高の評価です。私もこの仕事に就く前は、卸会社で魚の営業をしてまいりましたが、「常磐もの」の漁業者の誇りを肌で感じることは多かったです。「いい魚をいい状態で皆さんにお届けするんだ」「活魚でも鮮魚でも、俺たちはいい魚を出荷してやるんだ」という意気込みですね。こうしたプライドが込められた魚には、とても魅力があります。本当にいい魚であるのは間違いがないし、誰が食べてもおいしい。私たちはこれからも「常磐もの」を全力でバックアップしてまいりたいと思います。
漁業が日本の食文化を支えていく
豊洲市場として、今後の「ごひいき!三陸常磐キャンペーン」に期待することはありますか?
市場関係者は、広い海から魚が漁獲され供給されないと、手も足も出ないわけですね。漁業者の方々が漁をし、安定的に供給していただけなければ、我々の商売は成り立ちません。逆に魚を供給するためには、継続的な商売が成り立つ必要があります。商売が成り立たなければ、我々の仕事もなくなってしまいます。
漁業者の方々に獲っていただく魚があるからこそ、食文化が支えられています。まさにそれが原点です。ないものを、どんなにいいと言っても意味がないわけで、常磐という豊かな海から魚を獲ってもらえたら、私達市場が価値のあるところに販売させていただくことができます。そのためには風評被害を無くし、科学的に本当に安全であるということを証明し、消費者の皆さんが先入観なく魚を食べられる環境をつくる。漁業者の漁から消費者の口に入るまで、どれか一つが途切れても成り立たない。一連の流れが大事なのだと思います。
しっかりと産地の魅力を発信し、消費者にもつなげていきたい
本日の朝に提供された試食も、あっという間になくなってしまったとか!
そうですよ。豊洲には卸売会社が7社あり、食堂を利用するのはその会社のセリ人といわれる「プロの目利き」。この人たちが、全国から魚を集荷して、仲卸さんなど買い手の方々に卸売します。そういう方々に試食をしてもらいました。「三陸常磐の魚はこういう食べ方もある」など、もう一度よくわかってもらえれば、集荷に力を入れていただけると期待しています。
皆さんが召し上がることで、またさらに広がっていく!
三陸常磐もののおいしさはよくわかっていますが、今回はさらに各県の漁連・漁協さんの協力で新商品をいろいろと提供いただきました。
試食とともに配布したアンケートには、提供元の連絡先も書いてあります。「うちでも取り扱いたいな」と思ったら、すぐに問い合わせできる仕組みです。せっかくやるなら、しっかりと(関係者に)宣伝して産地の思いを伝えていく。そこから消費者にちゃんとお届けするのが、中央卸市場の役割だと思います。
おいしい幸せを分かち合うのが切なる思い
最後に、消費者へのメッセージをお願いします!
残念ながら消費者の魚離れが進んでいます。時代に合わせて柔軟に魚を供給する工夫として、新しいライフスタイルに合わせた食べ方や提供の方法を考える必要があります。
食べていただく方々は、全員が評価者で採点者。「北風と太陽」の話ではないですが、「嫌だよ」と言う消費者に無理やり食べさせるわけにいかない。おいしいものなら、自然に消費者も受け入れてくれる。常磐という豊かな海から漁獲された魚のおいしさをちゃんと伝えられれば、みんなに喜んで食べていただけるはずです。
そういう状況を我々がどう創っていくのかがすごく大事です。 市場はどのように動くべきなのか、 このようなイベントで何を訴えるのか、きちんと考えていきます。
食べ物って面白くて、おいしいものを食べて怒る人は誰もいないんですね。「お魚はやっぱりおいしいね」と個々の人が感じて、みんなで幸せを分かち合う。それが私の切なる願いです。